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沈黙の訳

9月28日の永瀬五段との朝日杯一次予選。持ち時間40分ということで、自分の形に持ち込めるように先後どちらでも作戦は決めて行った。
振り駒で後手番をひき、先手石田流に迷わず右四間飛車を採用。仕掛けてからお互いに自陣角を打つ難しい将棋になり、形勢は2転くらいするねじり合いとなり迎えた下図↓

(新規棋譜)105手

数手前から勝勢の局面となり、現局面は寄せに出ているところ。△35銀を受け▲27桂と受けた場面。読み筋は△36銀で、それで勝勢だった。次に△27銀成~△35銀と出れば終わりだし、何か実戦の中では▲36同飛△同角▲44香が目に映って嫌な気がしたけど、そこで普通に△44同銀でやはり勝勢だと思う。
実戦はここで△27同角成▲同玉△35銀▲43飛成と進んで、あっと言う間の大逆転。△27同角成が大悪手、要の角だけは切る手はなかった。
そもそも1分将棋の秒読みの中で、55秒まで△36銀を読んでいたのに慌てて指したのが本譜の角切り。手の善悪もさることながら、自分自身一体何をやってるんだか信じられないというのがそのときの感想だった。

形勢の悪い先手が後手の悪手を待って辛抱するのは当然だが、そこに期待通りの大悪手を指した自分は本当のアホだと思った。

終局後は体は熱くなり、怒りで声が震えて視点も定まらない。
対戦相手に負けた悔しさより、自分自身に対する怒りが圧倒的に勝っていて、何も話せない。

棋士になって初めて、自分から感想戦をせず駒をしまった。

というかよく覚えていない、たぶん駒をしまったというレベル。



まっすぐA駅に帰還すると、わるよいがこっちに来てた。

夜になって「オレはもう帰るわ」というと、彼が「軽く飲みいかないか?」という。

「今日は無理、そういう気分じゃない」と断って帰ろうとしたけど、「おまえ今日昼から何も食ってないんじゃないの?」と言われて、まぁ確かに言われてみれば何も食べてない。もうそれすらどうでもいい、食べたいとか飲みたいとか話したいとか、何もない。

けれど結局近場の「5時蕎麦」に入って2人で一杯飲んで蕎麦を食うことに。

この日は渡辺王座ー羽生挑戦者の今期の王座戦の決着局となった第4局目が行われていて、22時過ぎに千日手となった将棋はお互いが最善を尽くして千日手という、凄い将棋だった。

わるよいと中継みながら局面と手について言っていたけど、全然手が当たらない。自分の将棋とは別物、別次元のような気がした。

最後はわるよいに「もう将棋の話はやめてくれ」と言ってた。

そしたらわるよいが「おまえがスクールで教えてた子で強いってブログでいってた子、どうなった?」と聞いてくる。「連盟道場で○段だよ、」なんて返しながら、「なんでいきなりこんな話題ふってくるんだ?」と聞くと、「今のおまえ、こういう話くらいしか明るい話ないだろ」って言われてびっくり。
彼なりに気を遣ってくれていたようだ(笑)

その帰り道、1人で歩きながら、帰ったら包丁で自分の指をたたっきってやろうかと思った。そうでもしない限り、どうしようもない感情、怒り、不甲斐なさ。


読み筋通り指して、相手の読みが上回っていたなら仕方ない。相手の方が強い。悔しいけどきっと学べるところもある。

だけど自分の読み筋を信じれなくて違う手指して負けること。自分に負けること。

たぶん、4年前の三段リーグでは、そこが違ってたはず。

弱かろうがなんだろうが、自分を信じて突っ込めないなら、自分は将棋指しとして終わりだと思った。




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No title

あんたかっこいいね

No title

今後の活躍に期待!
そして,成長を楽しみにしています.

No title

>たぶん、4年前の三段リーグでは、そこが違ってたはず。

ってこんな文章をみると、
まだ四段になった喜びに浸ってるように受け取れる。
もっと上を見なけりゃだめなんじゃないのかな。

面白いパフォーマンスの棋士
というイメージしかなかったんですがブログを見てイメージが変わりましたかっこ悪い内心をさらけだして語れるのはかっこいいと思います
まだまだ今よりもっと強くなれると思います応援します

No title

>>通りすがり
> 面白いパフォーマンスの棋士
ひどいやつだな、お前。
他の棋士と間違えるなんて。
「お前のことなんて知らないけどさ」って宣言してるようなもんじゃん。
わざとやってるなら大したものだけどさ。

No title

すいません似た名前の違う棋士の方と勘違しました
指摘通り初めてお名前知りました悪意はないです
責任をとって一生かけて応援します!(笑)

No title

43飛成の局面、以下、同金、同香、26銀、で、まだまだ後手が良いように思えます。とっさの角切りも悪くない判断だったのでは。。。。
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月下のシン

Author:月下のシン
2008年10月1日付けで棋士となった佐藤慎一です。
気づいたら早いもので4年目に突入!
宜しくお願いします。

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