スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

奨励会試験

自分が奨励会に入会したときから19年の歳月が経って、今年は師匠の気持ちがようやくわかる年となった。


1か月半前、弟子の奨励会試験を受けさせるかどうか考えていた。お世話になっている指導棋士の方や研修会幹事の先生の話を聞いたのをまとめてみると、「力はあるけど今年はどうかな、じっくりと来年でも。」といったニュアンスだった。それでも本人が奨励会試験を受けるため頑張っているということは知っていたし、プロ棋士になりたいという強い意志を持った子だということも知っている。
なのでとりあえず1局指して確かめたい、それが棋士として思うことだった。

香落ちで指して、結果にかかわらず内容で決めようと思ったその将棋は、聞いていたよりもしっかりした序盤、ねじり合いになっても引かない中盤、そして「何か違う」と3年前に感じた終盤はやはりその輝きを失ってなかった。
そして試験申込書を渡した。


1次試験は抜け、試験3日目の2次試験は現役奨励会員に3局指して1勝通過というもので、結果は予想できなかった。午前中の1局目は負けたという連絡は頂いて、2局目も負ければ顔面蒼白となるだろうから、3局目の始まる前に一声かけてやりたいと思ってその時間帯に連盟に向かった。勿論3局全て負けることもあるだろうし、その時は帰り道の少しの間、送りつつ声をかけてあげようと思った。

連盟に着いて対局室のある4階の階段を上っているとき、すれ違うように降りてきたのが弟子で、その顔はうつむいて緊張した顔つきだったから負けたんだなと思った。言葉は裏腹に「どうだった?」と聞いていたけど。

顔をあげて「2局目に勝ちました」と言われて、「よく頑張った」と言って頭を撫でてた。嬉しくないはずがないのに、抑えているものがあるんだなと感心した。


弟子と親御さんと千駄ヶ谷の駅に向かう途中、親御さんに「そういえばいつかここでばったり会いましたよね」と言われた。
それは2年くらい前、スクールを卒業して半年くらい経った後の再会がそのときだったと思う。

日曜日の夕暮れに連盟に向かう自分と千駄ヶ谷駅に向かう親子とすれ違いそうになったとき、自分にはそれが彼だってすぐわかった。お父さんに手を引かれながら号泣して歩いてたから。聞けば道場の有段者にボコボコにされたようで、手合いカードもくしゃくしゃに涙で滲んでた。お父さんに「挨拶しなさい」と言われてしゃっくりしててできなった彼の姿を見て、「絶対強くなるから大丈夫だ」と頭を撫でた。

そのときはまさか弟子に取るとか考えてもいなかったし、そういった縁がなければ師匠と弟子という関係にはなっていなかったかもしれない。


試験の後で聞いたけど、9歳での奨励会合格は史上4人目だと知った。

あまりそういったことはアテにしずらいけど、期待は当たり前にある。

この世界、歳の若さと才能は比例する。

これからも弟子が伸び伸び将棋を指していけるよう、陰ながらサポートして、自分も成長できるよう頑張らなくてはと思った。

プロフィール

月下のシン

Author:月下のシン
2008年10月1日付けで棋士となった佐藤慎一です。
気づいたら早いもので4年目に突入!
宜しくお願いします。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Love Clock
グラフィカルとけい
Sweets
FC2カウンター
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。