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先日のポイントの局面

勝又六段との対局は振り駒で後手となり、相矢倉の出だしから先手の勝又六段が早囲いを匂わす序盤となりました。(早囲いとは先手番で矢倉に組むとき、▲68角を省略して囲う作戦、オーソドックスな囲い方の王様のルートは69~79~88ですが(このとき79の角が邪魔なので一回▲68角と上がる手が必要になる)、早囲いは68~78~88のルートで囲うため、角を一回上がる手を省ける)

それに対しての後手のわたしは、急戦策も考えたものの、結局は一番穏やかに組み合う順を選び、駒組みがある程度できあがったところでは15年前くらいに流行った森下流の将棋に合流してくるという、不思議な感じになっていました。

その定跡手順に合流する直前、先手の勝又六段が仕掛けをしたのですが、直後に錯覚があったようで有利な局面を迎えたのが下図。

20110128勝又佐藤49手

駒の働きやまとまりで後手優勢ですが、駒の損得はありません。

優勢なときは普通の手を指せばよい、というのは将棋の常識ですが、図から平凡に△55銀は▲56歩△64銀▲48飛△95歩▲78金△31玉▲45歩(仮想図)

仮想図

特に後手が悪い手を指したわけじゃありませんが、こう進むと先手も次の▲65歩をみせて、また▲35歩と攻める狙いもあり難解となります。

戻って最初のポイントの局面で、後手の有利なポイントは駒の働き、効率、まとまりなので無難に手が進むとグッと差が縮まってしまいます。

要はここは阿久津流瞬発力が必要となります。(特に阿久津流言う必要はない笑)

戦いを起こせれば先手がまとまりが利かず後手が有利になるだろという局面なのです。

実戦は最初の図から本局最長の30分の長考で△64角と出て、▲48飛に△52飛と大駒を急所に移動。先手に息つく暇を与えないのがポイントとなります。後手も41玉型なので怖いところありますが、やはり相手の離れ駒、遊び駒が動き出す前に決着をつけにいったのがよかったようです。

ちなみに30分考えた中には仮想図ももちろん頭に思い浮かべていて、「これじゃあちっとも良くならないな」という風に切り捨てました。


中盤での形勢判断は非常に難しいですが、目にみえてわかるのが駒の損得、玉の堅さ。

その先に駒の効率、相手の駒を遊ばせているなどの要素が入ってきます。長考してるときはその先の局面の微妙な形勢判断などに苦労しているときもありますので、初段以上の実力を付けるには駒の働き、効率も形勢判断の材料にするといいと思います。



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プロフィール

月下のシン

Author:月下のシン
2008年10月1日付けで棋士となった佐藤慎一です。
気づいたら早いもので4年目に突入!
宜しくお願いします。

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